高解像度衛星画像の普及にともない、人間の目視判読に近い分類結果が得られるオブジェクト指向分類が注目されている。オブジェクト指向分類は、対象画像を均質空間に分割する領域分割と、分割された領域をクラス特徴量に基づいて分類するふたつのステップによって実行される。テクスチャや形状など、多様な特徴量を分類に反映できることはオブジェクト指向分類の大きな利点であるが、的確な土地利用分類図を作成するには、分類に先立って行われる領域分割もまた重要な意味を持つと考えられる。そこで本研究では、インドネシア・スマトラ島南部のプランテーション地帯を撮影したQuickBird 画像から、①圃場区画、②作物の生育ムラ、③播種及び植え付け方法、に関わる農地の情報を把握するための領域分割用パラメータ及びクラス特徴量について検討した。本報告ではオブジェクトの均質性を形状情報で規定する
“shape”と不定型さで規定する
“compactness”に対してそれぞれ0.1、0.5、0.9 を与え、これらを組み合わせた9通りの試行の中から目視によって最適な組み合わせを決定した後、オブジェクトのサイズを規定する
“scale parameter” を調整する手順を提案する。これにより、圃場区画を示す道路の形状や、生育ムラによって生じるパッチを領域分割に反映させるための定性的な知見が得られた。さらに、本手順で決定したパラメータによる領域分割結果に対して、スペクトル特徴量、テクスチャ特徴量、形状特徴量の組み合わせの中から最小クラス間距離が最大となる特徴量を用いて分類すると、パラメータを調整しなかった場合(マルチスペクトルデータ用デフォルト
“shape”=0.1,
“compactness”=0.5 を適用)に比べていずれも分類精度が3~32%向上し、とくに①圃場区画と②作物の生育ムラについては良好な分類結果が得られた。
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