抄録
森林には経済機能と公益機能の二つの機能があるが、両機能は一般には二律背反の関係にあって両立しがたく、そのままでは両者の調和は困難である。なぜなら、森林の経済機能(木材生産機能)は森林の伐採によってのみ達成されるのに対し、公益機能(非木材生産機能としての土砂崩壊防止機能、水資源涵養機能、空気浄化機能、レクリェーション機能など)は森林の維持によってのみ達成されるからである。本稿においては、このように相反する森林の経済公益両機能の調和を人為的制御(森林政策)によって解決するための理論、より具体的には、森林を経済林と公益林に最適に利用するための「森林利用の最適計画論」を明らかにすることにある。私見では、そのための理論には二つの方向がある。第一は、いわゆる「限界効用均等の理論」に基づく方向であり、第二はいわゆる「選択の理論」に基づく方向である。本稿では、このうちの選択理論に基づく森林利用の最適計画論について述べる。選択理論の見地からの森林利用の最適計画論では、経済林対公益林の生産変換曲線と経済林対公益林の等効用曲線(効用無差別曲線)とが接する点で、全森林を経済林面積と公益林面積とに利用区分するのが森林利用の最適計画であるとする。ただし、それを証明するには、はじめに「経済林対公益林の生産変換曲線」と「経済林対公益林の等効用曲線」について明らかにしておく必要がある。