中世ヨーロッパにおいて天動説が地動説に転換したように、今日もまた、それに匹敵するような大転換が起ころうとしていると指摘されている。本稿は、このような観点に立って「新しい生命観」、「新しい自然観」、「新しい文明観」、「新しい学問・教育観」について私見を問おうとするものである。すなわち、以下のとおりである。(1)人間は自身のDNAに書き込まれた遺伝子情報によって思考し行為するが、その遺伝子情報をDNAに書き込み、かつそれに生命を与えるものは何かとの観点に立っての生命観。(2)そのDNAに書き込まれた遺伝子情報に対して、自然環境がどのような影響を与えるかとの観点に立っての自然観。(3)物質科学と生命科学との間には越えがたい溝があり、それが物質文明と精神文明との断絶を惹き起こしたものと考えられるが、その断絶を埋めるものは何かとの観点に立っての文明観。(4)従来の西洋科学は論理的に理解できる自然、それゆえ神なき自然を研究対象としてきたが、現実の自然は論理のみでは理解できない非論理性ないしは「あいまいさ」をも多分に含んでおり、それが今日みるような「科学か宗教か」の対立を惹き起こしたものと考えられるが、その対立を解くものは何かとの観点に立っての学問・教育観。本稿では、このような観点に立ってのニューバラダイムシフトについて私見を明らかにした。