システム農学
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3 巻, 2 号
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投稿論文
  • ―産業連関分析による考察―
    榎 幹雄
    1987 年 3 巻 2 号 p. 54-64
    発行日: 1987/10/15
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    大阪府における農林水産業の構造変化を産業連関分析により明らかにした。大阪経済における農林水産業は昭和35年から55年までの20年間に総生産額に占める割合が0.8%から0.2%へと低下し、低落傾向の大きな産業である。需要構造は「中間需要型」を示しているが、その比率は低下傾向にある。また自給率も低下を続け、生産の多くを輸入及び移入に依存している。投入における構造変化の特徴は自部門への投入低下と製造業、流通、サービス部門での投入増加が上げられ、都市近郊における農林水産業の流通、サービス部門への依存度の高まりを裏付けている。この傾向は逆行列係数によって示される全産業への波及効果でも同様にみられ、流通、サービス部門への波及効果が高まっている。農林水産部門における昭和35年から55年までの生産額変動要因の解析結果では、最終需要、輸移出変動効果が生産誘発に寄与し、技術変動、輪移人変動効果が生産減少に働いていることが明らかとなった。この傾向は、特に昭和45年から55年までの10年間において大きかった。
  • 岸根 卓郎
    1987 年 3 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 1987/10/15
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    中世ヨーロッパにおいて天動説が地動説に転換したように、今日もまた、それに匹敵するような大転換が起ころうとしていると指摘されている。本稿は、このような観点に立って「新しい生命観」、「新しい自然観」、「新しい文明観」、「新しい学問・教育観」について私見を問おうとするものである。すなわち、以下のとおりである。(1)人間は自身のDNAに書き込まれた遺伝子情報によって思考し行為するが、その遺伝子情報をDNAに書き込み、かつそれに生命を与えるものは何かとの観点に立っての生命観。(2)そのDNAに書き込まれた遺伝子情報に対して、自然環境がどのような影響を与えるかとの観点に立っての自然観。(3)物質科学と生命科学との間には越えがたい溝があり、それが物質文明と精神文明との断絶を惹き起こしたものと考えられるが、その断絶を埋めるものは何かとの観点に立っての文明観。(4)従来の西洋科学は論理的に理解できる自然、それゆえ神なき自然を研究対象としてきたが、現実の自然は論理のみでは理解できない非論理性ないしは「あいまいさ」をも多分に含んでおり、それが今日みるような「科学か宗教か」の対立を惹き起こしたものと考えられるが、その対立を解くものは何かとの観点に立っての学問・教育観。本稿では、このような観点に立ってのニューバラダイムシフトについて私見を明らかにした。
  • ―北スマトラ地域へのPATTERN法の適用―
    秋山 侃, 深山 一弥, ソエマルマン H., セティヨノ J.
    1987 年 3 巻 2 号 p. 74-89
    発行日: 1987/10/15
    公開日: 2024/02/05
    ジャーナル オープンアクセス
    北スマトラの沼沢地帯(Photo 1, Fig. 1)の農業開発適地選定のために、人工衛星ランドサットの多重分光走査計(MSS)のデータを利用した3段階土地評価システムを提案した。この3段階土地評価システム(Fig. 2)では、保有するデータの種類や精度、画像解析のための施設の有無等に応じて、いづれかの土地評価のステップ(段階)を選択することができる。その第1ステップは、画像解析システムがない場合を想定したアナログ解析である。第2段階は、有効なグランドトルースデータが入手できない時に選択する方法で、全てランドサットMSSデータの解析の結果得られた4種類の主題図をPATTERN法によって結合させて評価するものである。PATTERN法(Planning Assistance Through Technical Evaluation of Relevant Numbers)は、メッシュデータに区切った各主題の要素毎に重み(点)を与え、これらを重ね合わせて総合点を求め、相対的な土地評価のクラス分けを行う手法である。第3段階は、総合的土地評価システムで、既存のデータおよびランドサット由来のデータを併用して、対象エリア全域を主題図別の500mメッシュに区切り、やはりPATTERN法によって農業開発適地を選定するものである。以上の各ステップによる解析結果はPhoto 2, 3及び4に6段階の土地評価を付して示した。これらの解析結果から判断して、信頼すべきグランドトルースデータをもたない途上国において、衛星データを使ったPATTERN法による農業開発適地選定の手法は、ひとつの有効な方法であると考えた。
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