The Journal of JASTRO
Online ISSN : 1881-9885
Print ISSN : 1040-9564
ISSN-L : 1881-9885
眼窩悪性リンパ腫放射線治療例の検討
木村 智樹広川 裕山田 貴之桑原 将司権丈 雅浩兼安 祐子樫本 和樹伊藤 勝陽
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 13 巻 3 号 p. 151-155

詳細
抄録

【目的】放射線穂療を受けた眼窩原発悪性リンパ腫症擁をretrospectiveに調養し, 局所制御率・再燃形式・晩発性放射線反応について検討し, 至適線量について考察する.
【対象と方法】対象は1983年6月から1994年3月の間に広島大学放射線科で放財線治療を施行した眼窩原発悪性リンパ腫13例のうち, 3隼以上の経過観察が可能であった11例である. 内訳は男性8例, 女性3例で, 年齢は38~79歳 (中央値55歳) であった. 病期はIAE期が10例, IIIAE期が1例であり, 組織型はWorking Formulation分類でsmall lymphocyticが9例, diffuse small cleavedが2例であった. 治療法は6例で全身化学療法 (CHOP療法) を先行し, 30~50Gy (中央値40Gy) の放射線治療を施行した. 観察期間は37~183ヶ月 (中央値105ヶ月) であった. 検討項目は局所制御率, 再燃形式, 及びSQMASスコアシステムを用いた晩発性放射線反感 (LENT) である.
【結果】対象症例の全例で局所制御が得られた. 1例で対側眼窩に, 1例で岡側頬部に再燃を認めたが, それぞれ放射線治療及び化学療法にて制御された. 晩発性放射線反応は矯正視力, 角膜, 水晶体, 網膜でgrade3以上と判定された症例はそれぞれ4例 (36.4%), 1例 (9, 1%), 3例 (30.0%), 1例 (12.5%) で, これらはいずれも総線量40Gy以上であった. 高線量を照射することで晩発性放射線反応の程度が増大する傾向を認めた.
【結語】Grade3以上の晩発性放射線反応は40Gy以上照射した症例に発生し, 高線量の照射により晩発性放射線反応の程度が増大する傾向を認めた. 文献的にも晩発性放射線反応は線量依存的に増加すること, 局所制御は低線量でも可能なことを考慮すると, 至適線量30Gyは妥当であると思われた.

著者関連情報
© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
前の記事 次の記事
feedback
Top