The Journal of JASTRO
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子宮癌放財線治療後のInsufficlency fracture
生島 仁史竹川 佳宏松木 弘量安田 浩章川中 崇芝 篤岸田 義臣岩本 誠二西谷 弘
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2002 年 14 巻 4 号 p. 229-232

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抄録

【目的】子富癌に舛しで骨盤部放射線治療を施行した患者において晩期有害事象であるInsufficiency fracture (IF) の発生頻度とその臨床経過を検討した.
【対象と方法】2000年4月~200藍年3月の間に外来診療を行った子宮癌放射線治療後の108例を対象とした. 放射線治療時の年齢は26歳~88歳 (中央値62歳) で経過観察期間中央値は50ヶ月である. 放射線治療は全例において6MVX線前後対向2門による全骨盤照射を施行しており, 総線量は40~50Gy (中央値50Gy) である. 放射線治療後は骨盤単純x線写真及びCTを定期的に撮像し, 骨盤部痛を訴えた場合にMRIと骨シンチグラフィを追加した.
【結果】108例中13例にIFを発症した. 骨折部位は仙腸関節: 7例, 恥骨: 6例, 第5腰椎: 5例, 仙骨椎体: 2例, 自蓋部: 1例であった. 6例において複数の骨折部位が存在し, そのうち4例は両側紬腸関節に対称的に生じた亀裂骨折であった. 治療終了からIF発症までの期間は平均11ヶ月で10人 (77%) が1年以内に発症していた. 骨折者の年齢中央値は70歳で高齢者における頻度が有意に高かった. 全例が保存的治療で軽快し, 歩行障害を残した者は無かった.
【まとめ】子宮癌放射線治療後の晩期有害事象では直腸膀胱障害が議論されることが多く骨に関する報告は少ない. しかし, 社会の高齢化に伴い骨粗懸症を有する患者の増加を背景としてIFの頻度は高くなっていると考えられる. 今後正確な発症頻度の把握と予防的治療の検討が必要である.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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