2002 年 14 巻 4 号 p. 233-238
近年, 癌治療においてQuality of Life (QOL) の向上が重要な課題となっている. 放射線治療におけるQOL評価法はいまだ確立された方法がなく, また放射線治療が患者のQOLに与える影響も明らかにされていない. そこでわれわれはQOL調査票を用いて, 放射線治療が施行された患者のQOLの変化を調べ, QOLに及ぼす影響についた考察した. QOL調査票は厚生省粟原斑のrがん薬物療法におけるQOL調査票を使用した. 355例の成人癌患者を対象とし, QOL調査は治療開始時・中・終了時の3回行い評価した. 症例全体ではQOLスコアは治療終了時に改善が認められた. これは高齢者においても岡様の結果であった. また婦症照射例 (その多くがPS2-4) でQOLスコアの改善が顕著であった. 化学療法供用例や口腔内が照射された例ではむしろQOLスコアの悪化が見られた. 以上より放射線治療は高齢者やPS不良群でもQOLを損なわず治療可能であり, また姑息・対症照射鋼でQOLの改善が明らかであった. ただし化学療法併用群や口腔内が照射される例では, 注意深く治療する必要がある. 本調査票は放射線治療患者のQOL評価に有用である.