The Journal of JASTRO
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偏心性多分割絞りによる原体照射法の研究
第4報原体打抜照射法の線量分布計算と臨床応用
小幡 康範藤井 洋司佐久間 貞行
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1990 年 2 巻 3 号 p. 181-196

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抄録

原体照射法の応用範囲を広げるため, 我々の施設では, 正中を越えて開閉可能な多分割絞りを有するコンピュータ制御原体機構を開発設置し, その線量分布計算法と偏心回転照射を応用した打抜照射法については既に報告した. 今回, 今までにModulexを使って開発した偏心原体照射法プログラムを一部変更して, 吸収体を用いない打抜照射のための絞りの開度を計算し, 更に2回転の照射の合成として線量分布を計算し, 表示できるようにした. そして, 計算による線量分布とフィルム法による測定結果を比較したところ, 最大5%の誤差で良好に一致した. さらに, 2ケ所の打抜の場合は, 照射野を3つの部分に分割して, 3回転して合成すれば可能であり, 測定と計算による線量分布を比較すると, 最大約5%の誤差で良好に一致した. 肺癌と食道癌の症例で縮小追加照射に原体打抜照射を応用した. 原体打抜照射法を用いれば, 治療装置の回転に空間的余裕ができる. 打抜吸収体の代わりにコリメータを用いるため, 打抜効果はコリメータの厚さで決まり, 打抜の大きさに係わらず一定となる. 多段のコリメータ毎に打抜部の大きさや形状や位置が変えられるといった利点があり, 打抜の長さは使用するコリメータの幅で決定され, コリメータの中間で終わることができない. コリメータの幅の間で打抜の形状が変えられないため球状に眼の遮蔽ができない. 打抜部位数+1回転の照射が必要で, 照射時間は長くなる. 打抜部が病巣から外れている場合は, 確認写真に打抜部が描出されないことがあるといった欠点がある. 線量計算方法は基本的にModulexに依存しているので, Modulexの計算精度が上がれば原体打抜照射の線量分布もより正確となる.

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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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