The Journal of JASTRO
Online ISSN : 1881-9885
Print ISSN : 1040-9564
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放射線誘発アポトーシスの研究
最近の進歩
山田 武大平 知佐大山 ハルミ
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1997 年 9 巻 2 号 p. 89-97

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抄録
腫瘍の生物学の研究の進展があれば, その診断法や治療法の改良・進歩が期待される.アポトーシス研究の進展に伴い, 放射線治療の基礎として放射線誘発アポトーシスに対する関心が高まるのは当然である.本稿では, まず, 放射線細胞死研究と, アポトーシス発見とその基本概念の確立との関係, さらに, p53, bcl-2などアポトーシス関連遺伝子の機能と放射線感受性との関係など, 最新の知見を紹介する.最近, DNA損傷に加えて, 放射線細胞死の標的としての膜損傷が, 放射線誘発アポトーシスの分子機構ならびに細胞内情報伝達の研究の進歩に伴い, クローズアップされてきた.さらに, アポトーシス実行過程の引き金となるタンパク質分解の役割と関連遺伝子, 放射線障害・リスクの軽減におけるアポトーシスの役割も注目されている.最後に, 放射線誘発アポトーシス研究において発見された増殖死型アポトーシスの意義について言及する.
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© 1994 The Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
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