抄録
New Technology Based Firms(NTBFs)は、欧米や中国等との厳しい国際競争に日本経済が生き残るために不可欠な経済主体である。しかし、NTBFsの創業は見られるものの、簇業(=次々と起業し、成長し、集積する)には至っていない。本稿では、NTBFsの簇業と企業家活動について考察する。まず、GEMの創業モデルを基本型とし、これにVC、インキュベーター等「外的資源の入手可能性」の改善と、身近な創業事例やロールモデル等による「起業への期待感」の上昇が、創業の連鎖を引き起こす動態モデル(簇業モデル)を構築する。 次に、本モデルは技術の予測困難性等を加味すればNTBFsにも適用可能であることを示す。最後に、NTBFs 簇業には、①機会費用とリスクが高すぎ創業しないことが合理的選択となっている、②このため企業家活動を支える資源と社会の期待感が増えない、の改善が必要であることを示す。