日本ベンチャー学会誌
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Print ISSN : 1883-4949
研究論文
日本およびASEAN の大学生にみる起業家的資質と起業意識
―GET2を用いた探索的調査結果の国際比較―
石黒 順子大江 建
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2019 年 33 巻 p. 9-23

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抄録
筆者らは、2014年から2017年に「ASEAN中小企業・起業家教育産学連携促進事業」に取り組んだ。その活動の一環として、日本およびASEAN各国の大学生を対象に、起業意識や起業家的な性格特性を把握するための調査を実施した。調査には、CairdのGET2を用い、起業家に必要とされる資質のうち、達成欲求、自律性、創造性、リスクテイキング、統制の所在という5つの資質を測定した。さらに、起業への意欲や自信の有無をたずねた。その結果、次のような傾向がみられた。①インドネシア、ブルネイでは、意欲も自信もある回答者が過半を超えた。一方で、日本はマレーシア、フィリピン、カンボジア、タイ、ラオスと並び、意欲も自信もない層が多い。②起業家的性格特性のスコアは、フィリピン、ラオス、などで高い。若年者失業率の高い国で、起業への意欲・自信・起業家的資質のスコアが高い傾向がみられる。③いずれの国でも起業家的性格特性での男女差はみられない。一方で、起業への意欲や自信では、全体としては男性が女性を上回る傾向があるが、ベトナム、ブルネイ、フィリピンなど女性が男性を上回る国もみられる。④日本、フィリピン、ミャンマー、マレーシア、ブルネイで、自営業の親が子の起業意識に大きな影響を与えている。⑤ブルネイ、インドネシア、ベトナム、ミャンマーで「起業への意欲も自信もある」人の割合が、「起業への意欲も自信もない」人の割合を大きく上回る。この研究の結果は、日本とASEANの人材特性の違いを示すだけでなく、ASEAN域内の人材の多様性を示している。その成果は、日本がASEAN地域内でのベンチャー企業・中小企業育成に貢献する際のみならず、日本企業がASEAN展開する際の人材の活用にも活かされるであろう。
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© 2019 日本ベンチャー学会
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