2011 年 2011 巻 21 号 p. 36-47
今日,ITシステムに対する信頼性保証は,職業会計士によるサービスだけでなく非職業会計士によるものも多数ある。そのなかで職業会計士が提供する保証サービスは,職業会計士に特有の高度な専門性と独自の職業基盤に関連づけられたものでなければならないであろう。IT化の進展だけに目を奪われた無節操な範囲拡張は,職業基盤崩壊の危険性すら孕んでいるといってよい。職業会計士によるIT保証サービスの展開は,ITシステムの信頼性保証とアウトプットとしての情報(とりわけ財務情報)の信頼性保証とを関連づけた,地に足のついた論理に支えられていなければならない。その上で,非職業会計士によるIT保証で浸透しつつある段階保証モデルの援用など,新しいかたちの保証サービスのあり方も視野に入れる必要がある。