財務諸表外情報の作成と開示は,制度上も各国で進展している。これらの情報に対する監査人の関わりとしては,保証という形が考えられるが,そのあり方についての理解が定まっているわけではない。本稿では,監査・保証の観点から財務諸表外情報を検討するものであり,その際主としてわが国の会計情報開示,監査制度がどのような状況にあり,今後どのように影響を受ける可能性があるのかを考察する。そこでは特にIASBの動向を中心に,IFRSとのコンバージェンスおよび,2010年12月にIASBにより公表された実務ステートメント「経営者の解説」が,わが国の財務諸表外情報の作成,開示にどのように関連し,監査・保証に対していかなる影響を与える可能性があるかを考察する。