2017 年 2017 巻 27 号 p. 40-46
2015年は会社法の改正,コーポレートガバナンス・コードの施行と相次ぎ,日本のコーポレートガバナンス元年とも言うべき年であった。
日本企業が取るガバナンス体制は,監査役会設置会社,指名委員会等設置会社,監査等委員会設置会社という異なる形態の併存が認められているが,改正会社法で導入されたガバナンス体制もコーポレートガバナンス・コードも,いずれも欧米のガバナンススタイルをそのまま輸入したものであり,これに魂を入れるのはこれからである。形を入れてこと足れりとせず,本質的な問題に正面から対応しないと,導入した制度が形骸化することにもなりかねないと危惧する。
ここでは企業不正防止という監査役の使命を踏まえ,企業不正の類型と夫々に対応する監査役の役割を概説した上で,現代の監査役に求められる役割及び資質について論じたい。