現代監査
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内部監査の独立性と上場会社のコーポレート・ガバナンス
柿﨑 環
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2017 年 2017 巻 27 号 p. 58-67

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抄録

東証規則に導入されたコーポレートガバナンス・コードでは,取締役会のモニタリング機能の強化が掲げられ,少なくとも2名以上の独立社外取締役の選任が上場会社に求められている。しかし,独立社外取締役が取締役会において実効的な監督機能を果たすには,内部監査部門からの提供が期待される情報が,公正・客観的であることが求められる。そのためには,少なくとも内部監査の独立性が確保されている必要がある。内部監査の独立性については,監査対象および経営者からの独立性が問題となるが,とくに経営者からの独立性の確保には,取締役会に対する内部監査部門の直接の報告ラインの整備の重要性がグローバルな視点からも指摘されている。しかし,取締役会の社外取締役の構成比率が諸外国と比べて低い我が国では,単に取締役会への直接の報告ラインを整備するだけでは不十分であり,内部監査部門の人事・監査計画・予算等を取締役会の決議事項とするなどの工夫が必要である。歴史的にみても戦後商法の改正から平成26年会社法改正に至るまで法定監査の変容は,内部監査と法定監査の連携の在り方を変化させている。

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© 2017 日本監査研究学会
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