現代監査
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統合報告と保証業務の課題・拡充
小西 範幸
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2019 年 2019 巻 29 号 p. 12-21

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抄録

企業のサステナビリティは,長期的に価値を生み出す企業の能力を維持または強化する企業活動に起因するため,サステナビリティ情報には,ビジネスリスクをコントロールし,中長期的には財務諸表の数値に影響を与えることが求められる。しかし,そのサステナビリティ情報は,財務報告の中に有効に取り込めているとは言い難い。統合報告では,サステナビリティ情報は,会計メトリックなどを活用して財務諸表に関連づけて提供できるため,保証業務の対象となり得る。

本稿では,統合報告が保証業務に与える影響について検討する。まず,統合報告の会計思考を体現したリスクマップによる重要性の評価を用いて,統合報告に係わる保証業務の課題を合理的保証と限定的保証に分けて検討した。次に,統合報告の進展は,経営者,会計監査人,監査役等,内部監査人の間でのリスク情報の共有化を図り,その結果,四者間の連携強化が保証業務を拡充させて当該課題の軽減を導くことに言及した。

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© 2019 日本監査研究学会
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