2022 年 2022 巻 32 号 p. 44-53
最近,企業報告や監査を取り巻く環境に大きな変化が生じている。これを踏まえ,監査について,個別の論点でなく,「将来の監査の在り方」という大きなテーマで議論される機会が増えている。また,監査実務において様々な変化が生じている。
こうした動向を監査事務所に所属する実務家の観点から俯瞰すると,サステナビリティ課題の重要性が急速に高まっていることを踏まえ,財務情報と非財務情報が一体となった企業報告に対する監査・保証業務のあり方について模索されている点が特筆すべき動きと考えられる。また,不適切会計を受けて進められている監査制度改革の過程で,監査部門とアドバイザリー部門との関係性や不正への対応のあり方等について国際的な議論が進められている点が注目される。また,国内の実務でも,監基報720を踏まえた対応やテクノロジーの活用等について検討が進められており,これらが監査の変革につながっていくことが期待される。