抄録
超音波検査で膀胱頸部に発生した腫瘍が疑われたイヌ 3 症例に対して、尿路造影検査や膀胱鏡検査、細胞 診検査などを行った。実際には 3 症例共に膀胱内に腫瘍や腫瘤は存在せず、超音波検査で認められた病変 は、膀胱尿道移行部の粘膜が膀胱内に突出する隆起(偽膀胱腫瘤)であることが確認された。偽膀胱腫瘤 を確定診断するのには膀胱内視鏡による観察が最も有用であったが、超音波検査や尿路造影検査でも特徴 的な所見が認められたことから、必ずしも内視鏡検査を行わなくとも診断ができる可能性が示唆された。