行動経済学
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第13回大会プロシーディングス
最低賃金の引き上げによって労働生産性は向上するのか
岩崎 雄也
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2019 年 12 巻 Special_issue 号 p. S22-S24

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抄録

本論文は「最低賃金を引き上げることで企業の生産性が向上する」という見解について,日本を対象に実証分析を行った結果を報告するものである.なお,対象業種は小売業および宿泊・飲食サービス業,対象期間は2003年から2017年とし,分析にあたっては企業別のパネルデータを使用した.

結果として,日本では最低賃金の引き上げによって企業の労働生産性が向上する一方で,雇用は減少し,さらに付加価値額や労働時間には有意な影響はないことがわかった.これはすなわち,最低賃金を引き上げることで企業の労働生産性は向上するものの,それは雇用に対する負の影響によってもたらされた結果である可能性を示唆している.

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© 2019 行動経済学会
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