2010 年 3 巻 p. 190-193
本稿では個人の選好の異質性が労働供給に与える影響を実証分析した.労働供給関数の推計から相対的危険回避度を計算したところ,先行研究と部分的に整合的であった.また,個人の選好がサービス残業時間に与える影響を分析した結果,有給労働時間が長く,労働強度が強く,男性では,先送りする態度,喫煙,賃金が成果主義的でない,女性では,危険回避度が大きい,優先座席に座らないという選好がサービス残業時間を長くしていた.サービス残業の管理においては、仕事量の調整に加えて、個人の選好も考慮する必要がある.