抄録
国債や投資信託や生命保険が銀行の窓口で販売されるようになって久しい.本論文は,アンケート調査によって得たデータから,銀行窓販で各種金融商品を購入した個人の特性を銀行以外での購入者と比較して統計的な分析を行った.本論文によって明らかになった銀行窓販ユーザーの特性は,第1に,銀行以外での購入者と異なり,彼らは心理変数の差による商品選択に違いが見られず,各種商品を疑似的な預金と見做す傾向がある.第2に,しかしそれは必ずしも銀行の影響によるものとは言えず,個人の主体的選択に基づくものである.第3に,リーマン・ショック期には他商品から国債へ資金が逃避するFlight to qualityが起きていたことが観察され,特に定期預金の購入者にその傾向が強く見られた.