抄録
本稿はWorld and European Integrated Values Surveyを使用して,世界各国の子ども数が金銭的な満足度に与える影響を,合計出生率や1人当たりGDPの違いを考慮して分析した.子ども数と金銭満足度の関係については内生性の問題が考えられるため,金銭満足度を生活満足度で割ることでウェイト付した上で操作変数法を用いた.分析の結果,合計出生率が低い国では,子ども数が満足度に与える効果が特に経済面で低くなることが示された.この結果は,子どもに対する経済的負担の高さが出生率の低さの一因であるという仮説と整合的である.