2002 年 5 巻 4 号 p. 400-403
目的:ACLS導入前後での院外心停止例の治療成績の変化を分析し,医師へのACLS教育の有用性を明らかにする。対象および方法:平成10年7月からドクターカー同乗医師を対象にACLS講習会を実施した。ACLS導入前,中,後の各時期について,現場での使用薬剤の変化と,心停止例の心拍再開率,社会復帰率の変化を検討した。結果:ACLS講習会の影響は(1)同乗医師が現場で使用する薬剤の変化(エピネフリンの使用量の増加, リドカイン,硫酸アトロピン使用頻度の増加と炭酸水素ナトリウム使用頻度の減少),(2)心原性心停止例の心拍再開率の上昇,(3)心室細動例の心拍再開率,社会復帰率の上昇となってあらわれた。結論:ドクターカー同乗医師へのACLS教育は院外心停止例の治療成績を向上させた。蘇生に関与する医師にACLSが早急に普及されることが望まれる。