日本気管食道科学会会報
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特集3 シンポジウム3:進行甲状腺癌の取り扱い
気管端々吻合における胸鎖乳突筋牽引による減張術
木西 實天津 睦郎
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2001 年 52 巻 2 号 p. 145-148

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抄録

頸部気管環状切除後の気道再建には種々の再建法が提唱されてきたが,気管端々吻合は十分な内腔を保持し,気道分泌物を容易に喀出できる点で最も生理的な一期的気道再建法である。吻合部の過剰な張力を減少させることは一般に肺と縦隔気管を頭側に授動させる方法と上気道を尾側に移動させる方法が行われてきたが,遠位気管を吻合部を越えて近位気管に牽引することにより過剰な張力を減少させる試みは文献上報告されていない。われわれは両側の胸鎖乳突筋胸骨頭弁により乳様突起から吻合部を越えて遠位気管を牽引する術式により過剰な張力なしに気管端々吻合術に成功した5例を報告した。
両側の胸鎖乳突筋胸骨頭を筋腱,胸骨骨膜を含めて切離することにより乳様突起から遠位気管を牽引する胸鎖乳突筋胸骨頭弁を得る。筋腱,胸骨骨膜を含んだ胸鎖乳突筋胸骨頭弁を吻合部より7気管遠位の気管側壁に縫着する。この縫合は胸骨頭弁の筋腱,胸骨骨膜,気管軟骨側壁を含むことが遠位気管の牽引を確実にするために重要である。

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