日本気管食道科学会会報
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特集1 シンポジウム1:気管・食道狭窄に対するステント治療
中枢気道狭窄に対するステント気道再建と治療成績
古川 欣也臼田 実男鈴木 明彦緒方 昭彦島谷 英明筒井 英光大平 達夫坪井 正博河手 典彦小中 千守加藤 治文
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2001 年 52 巻 2 号 p. 82-87

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抄録

気道ステント挿入症例125例中20例(16.0%)にcombination stentingを施行した。悪性狭窄19例,良性狭窄1例であった。同時性にステント挿入した症例は13例,異時性に挿入した症例は5例,同時性および異時性に挿入したものが2例であった。20症例に対して気道ステント43個,食道ステント2個の計45個のステントを挿入し,SEMSを17例(85.0%)に使用した。combination stentingの挿入部位は,気管,左右の主気管支および中間幹に挿入される場合がほとんどであり,気管にstent in stentとして挿入した症例が2例,気管と食道にdouble stentsとして挿入した例が2例であった。
初回治療としてステント挿入が施行された肺癌4例中3例(75.0%)および食道癌4例中3例は,ステント挿入後呼吸困難の改善に伴う全身状態の改善のため化学療法または放射線療法の施行が可能となった。
QOLをperformance status(ECOG)および Hugh-Jones 分類にて評価したところ,performance statusは3.3から2.0に,Hugh-Jones分類は4.1から2.7に有意に改善した。呼吸機能では,%VCが77.6%から84.7%に,peak flowが2.13 l/sから2.73 l/sに有意に改善した。
ステントの留置期間は平均106.8日で,3ヵ月以上の挿入期間が得られた。Combination stentingの合併症は30.0%に認められ,全体の合併症の約2倍の高率であるため,合併症に十分注意して症例の経過観察をしていくことが重要ではあるが,combination stentingは手術不能症例に対するステント気道再建術として有用な手段になり得ると考えられた。

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