2004 年 55 巻 5 号 p. 414-422
酸分泌抑制剤(H2受容体拮抗剤あるいはプロトンポンプ阻害剤)に抵抗を示した咽喉頭逆流症を報告した。1) 1例はFamotidine 40 mgを,1例はOmeprazole 10 mgを,1例はLansoprazole 30 mgを内服していた例である。2) 24時間pHモニタリングでは胃酸分泌は十分に抑制されておらず,咽喉頭にも酸の逆流を認めた。3) たとえ患者が酸分泌抑制剤を内服していても,酸分泌抑制剤に抵抗する咽喉頭逆流症が存在することに留意すべきである。4) 酸分泌抑制剤に抵抗する咽喉頭逆流症を疑うには,酸分泌抑制剤を内服しているにもかかわらず,胃食道逆流症の症状を患者が訴えていることを問診することが大切である。5) 酸分泌抑制剤に抵抗する咽喉頭逆流症が臨床上疑われるときには,薬剤を変更(H2受容体拮抗剤投与例ではプロトンポンプ阻害剤に,プロトンポンプ阻害剤投与例では他のプロトンポンプ阻害剤に)することが大切である。6) 4チャンネル24時間pHモニタリングは,胃酸のレベル,胃内の酸分泌抑制の状態,胃食道の逆流と食道咽喉頭の逆流の状態,各部位における酸逆流の関連性が同時に測定でき,薬剤の制酸効果を評価する際にも有用な検査である。