日本気管食道科学会会報
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原著
咽喉頭酸逆流症状に対する酸抑制治療の効果とHelicobacter pylori感染との関連
折舘 伸彦目須田 康西澤 典子森 美果中丸 裕爾本間 明宏古田 康福田 諭
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2006 年 57 巻 3 号 p. 262-267

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抄録

本邦では逆流性食道炎罹患率とHericobactor pylori感染率について逆相関を示唆する報告が多いが,咽喉頭異常感,慢性咳嗽,嗄声などの咽喉頭酸逆流症状を訴える患者におけるH. pylori感染率についての報告はまだない。われわれは咽喉頭酸逆流症状にて北海道大学病院耳鼻咽喉科を受診した患者のうち血清H. pylori抗体を測定し得た67例を対象としてH. pylori抗体陽性率,咽喉頭酸逆流症状,酸抑制治療への反応性との関連を検討した。対象患者群の血清抗H. pylori抗体の陽性率は61.2%であり,H. pylori抗体陽性群と陰性群の間には,患者背景,治療前の自覚症状の各項目において有意差を認めなかった。Kaplan-Meyer解析により咽喉頭症状改善率についてはH. pylori抗体陽性群は陰性群に比べ酸抑制治療に対する反応が良好であるが,食道症状については両群間に有意差を認めないことが示された。

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