2006 年 57 巻 3 号 p. 268-272
Gastroesophageal reflux disease(以下GERD)とHelicobacter pylori (以下H. pylori)感染は負の相関との報告が多く,H. pylori感染はGERDの促進因子ではなく防御因子である可能性が指摘されている。酸逆流により耳鼻咽喉科領域に症状を呈する病態をlaryngopharyngeal reflux disease(以下LPRD)と呼ぶ。今回われわれは,LPRDとH. pylori感染に負の相関があるか否かについて検討した。わが国の過去の報告の合計から算出した健常者のH. pylori感染率は74.2%(271/365)であり,これをコントロールとした。今回対象としたLPRD患者のピロリ菌感染率は26.1%(36/138)であり,コントロールと比較して有意に低かった(p<0.01)。その結果LPRDとH. pylori感染は負の相関であることが示唆された。