日本気管食道科学会会報
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症例報告
声帯粘膜下組織の切除により声門開大を達成した両側声帯麻痺4症例の術後喉頭閉鎖機能
小川 真中村 恵滝本 泰光榎本 圭祐端山 昌樹猪原 秀典久保 武
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2007 年 58 巻 4 号 p. 404-411

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抄録

両側声帯麻痺に対して,喉頭微細手術下の声帯組織減量により,声門開大およびカニューレ抜去を達成した4例を経験し,術前後の喉頭閉鎖機能を中心に検討した。3例は1度の片側甲状披裂筋内側部後方および披裂軟骨内側の鉗除により,他の1例はさらに同側披裂軟骨全体のレーザーを用いた摘出の追加により,カニューレ抜去が達成された。術後に気息性の強い嗄声を生じたものが2例,ほぼ正常の音声が得られたものが2例あった。これらの間における術後喉頭所見上の相違点として,対側声帯が正中を越えて内転し,発声時の声門閉鎖が行われるか否かが重要であると考えられた。息こらえ時の声門上部閉鎖は4症例すべて良好であり,嚥下造影検査におけるバリウム嚥下時の喉頭侵入および誤嚥は認められなかった。以上より,粘膜下声帯切除により良好な声門開大効果が得られることが示され,対側声帯内転の有無と術後音声との関連性が示唆された。

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