日本気管食道科学会会報
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症例報告
気道異物が疑われたscimitar症候群の1例
奥田 匠外山 勝浩長井 慎成河野 浩万東野 哲也
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2007 年 58 巻 4 号 p. 412-416

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抄録

気道異物は上気道閉塞により致命的となる危険性があり,迅速な診断と治療が要求される。このため,気道異物が疑われた場合には,しばしば侵襲的な気管支鏡検査が施行される。胸部X線上縦隔の偏位を認めれば,気道異物の存在を強く疑わせる。Scimitar症候群は部分的肺静脈還流異常の1型で稀な先天奇形であり,1960年Neillらによって命名された。胸部X線上1)右肺低形成,2)心臓の右方偏位,3)心陰影右縁と平行に縦に心臓横隔膜角に向かう特有のトルコ刀状(scimitar sign)の異常肺静脈陰影を主徴とする症候群である。1),2)が気道異物の所見と類似しているため注意が必要と考えられる。われわれは,生後10カ月の男児で,激しい咳漱・喀痰を主訴に近医を受診し,撮影された胸部単純X線写真により気道異物が疑われたscimitar症候群の1例を経験した。最終的に3D-CT virtual bronchoscopyにより,気道異物を非侵襲的に否定し,本症候群と診断し得た。

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