甲状腺乳頭癌が頸部リンパ節に転移した後に未分化転化したと推測される3症例を報告する。症例1は上頸部リンパ節転移巣での未分化転化病変に対して根治切除を行い,無再発生存が得られている。症例2は同様に手術を施行したが,内頸静脈腫瘍塞栓のため切除不能であった。症例3も側頸部リンパ節での未分化転化病変で切除不能であった。術後放射線治療中に増大を認め,早期に死亡した。甲状腺未分化癌は極めて予後不良な疾患ではあるが,早期に根治切除ができた場合長期生存を得られることもあり,未分化転化して急速増大するタイミングを逃さずに切除を行うことが重要と考える。また切除不能例の予後は不良のため,早期に緩和医療に移行する必要がある。そのためには転移巣のみが未分化転化している甲状腺乳頭癌症例が存在することを念頭に置いて迅速に検査治療にあたる必要性がある。