高齢者咽頭食道憩室の2切除例を報告する。症例1 : 86歳男性,嚥下時の違和感を主訴に来院した。上部消化管内視鏡検査および食道造影検査で咽頭食道左側に2×2 cm大の憩室を認め,憩室内には多量の食物残渣を認めた。症例2 : 83歳女性,嚥下障害を主訴に来院した。上部消化管内視鏡検査および食道造影検査で咽頭食道左側に5×5 cm大の憩室を認め,憩室内には多量の食物残渣を認めた。憩室は巨大であり気管と甲状腺左側に広く接していた。手術はいずれも左頸部切開アプローチによる輪状咽頭筋切開を伴う食道憩室切除術を行った。2症例ともに術後嚥下障害は認めず経口摂取は良好であった。食道憩室切除術は,嚥下障害などの有症状例に対しては,高齢者であっても積極的な適応となりうる。