日本気管食道科学会会報
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症例
経口的アプローチで摘出しえた中咽頭後壁静脈奇形例
川﨑 泰士和佐野 浩一郎富里 周太行木 英生鈴木 法臣行木 一郎太
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2015 年 66 巻 4 号 p. 273-277

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抄録

頭頸部領域において中咽頭静脈奇形は比較的稀な疾患である。症例は66歳男性で咽頭違和感を主訴に受診し,中咽頭後壁に静脈奇形が疑われ,深部は一部で椎前筋膜に達していた。治療は手術を選択し,術前の頸部造影CTで腫瘤の増強効果が微弱であったため,血管塞栓術は行わなかった。経口的アプローチで行い,完全摘出することができた。術後も特に問題を認めず退院となった。咽頭の静脈奇形は摂食の際の出血や窒息,誤嚥のリスクがあり,治療法には手術,レーザー,硬化療法などがある。静脈奇形の局在が中咽頭後壁の正中付近にあり比較的小さい場合,低侵襲に摘出できる経口的アプローチは扁桃摘出術に慣れた耳鼻咽喉科医にとって有効な治療法の一つになりうると思われた。

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