2015 年 66 巻 4 号 p. 278-283
硝子化索状腫瘍 (hyalinizing trabecular tumor) は,細胞診の際に乳頭癌との鑑別が問題とされる比較的まれな腫瘍である。今回われわれは,甲状腺硝子化索状腫瘍の手術例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する。症例は75歳男性。胸部CTを施行した際に甲状腺左葉に腫瘤形成があり当科を紹介受診した。頸部エコーでは甲状腺左葉に15 mm大の境界明瞭な腫瘤形成を認めた。FNAの結果,class IIIで悪性を否定できない結果であった。甲状腺左葉峡切除術+D1郭清を施行したところ,病理検査でサイトケラチン19が陰性で,硝子化索状腫瘍と診断された。本疾患は良悪に関して結論に至っていないことから,2005年の甲状腺取扱い規約ではその他の腫瘍に分類されている。