わが国は,人類史上で類をみないスピードで高齢化しており,医療現場では,加齢に伴って増加する疾患,病態に対する対策の必要性が増している。骨格筋量が減少し,筋力や身体機能が低下するサルコペニアは,一般集団だけでなく食道癌患者においても注目を集めている。サルコペニアの診断方法はさまざま存在しているが,食道癌患者ではstagingなどのために実施するCT検査を利用することもできる。サルコペニアを有する食道癌患者は,サルコペニアを有さない患者と比較して,根治手術後の合併症を高率に発症し,術後の生存率が不良であることが報告されている。また,化学療法や放射線化学療法においても,サルコペニアを有する患者では,減量や中止が多く,奏効率が低いことが報告されている。筋量を増加し,筋力,身体機能を改善するためには,栄養療法と運動療法を組み合わせることが有用である。今後,食道癌患者を対象とした周術期を中心とした栄養運動療法のさらなる研究が望まれる。