日本気管食道科学会会報
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原著
リハビリテーション専門医療施設における原発性脳腫瘍摘出術後嚥下障害14例の治療成績
伊藤 裕之加藤 孝邦小泉 千秋鈴木 康司棚橋 汀路三枝 英人
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2021 年 72 巻 3 号 p. 124-131

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抄録

14例の原発性脳腫瘍術後の治療成績を報告した。全例,嚥下障害の治療前には経管栄養に依存していた。8例は四肢の麻痺や運動失調を合併していた。1例は側頭葉の髄膜腫であった。他の13例はテント下腫瘍であった。そのうちの1例の病理学的診断は不明であった。他の12例は,髄膜腫3例,小脳橋角部神経鞘腫3例,延髄血管芽腫2例,小脳血管芽腫2例,第4脳室上衣腫2例であった。14例中6例が血管芽腫や上衣腫などの低発生頻度の腫瘍であった。14例に理学療法を行い,4例は経口摂取が可能になったが,10例は経口摂取が可能にならなかった。この10例のうち8例に嚥下障害の手術を行った。行った手術は,輪状咽頭筋切断術,喉頭挙上術,口角牽引術,披裂軟骨内転術,甲状軟骨形成術,咽頭縫縮術などである。この8例のうち7例は経口摂取が可能になった。小脳橋角部腫瘍術後に片麻痺,両側聴力障害,両側顔面感覚低下,片側顔面神経麻痺を合併した1例は,経口摂取が可能にならなかった。理学療法で改善しなかった他の2例には嚥下障害の手術が行えなかった。

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