日本気管食道科学会会報
Online ISSN : 1880-6848
Print ISSN : 0029-0645
ISSN-L : 0029-0645
症例
下咽頭梨状陥凹瘻に対して経口的瘻管摘出術を施行した1例
笠原 健大久保 啓介菅野 雄紀
著者情報
ジャーナル 認証あり

2022 年 73 巻 1 号 p. 14-20

詳細
抄録

下咽頭梨状陥凹瘻は先天性の内瘻であり,比較的稀な疾患である。下咽頭梨状陥凹瘻の治療は手術が第一選択であり,過去に頸部外切開,経口的瘻孔焼灼術,transoral videolaryngoscopic surgery(TOVS)による瘻管摘出術が報告されている。症例は13歳男児で,左前頸部痛を主訴に受診した。超音波検査で急性化膿性甲状腺炎の診断に至り,穿刺排膿および抗菌薬加療を行った。炎症の消退後に下咽頭食道造影検査を施行し,左梨状陥凹から連続する1 cm程度の瘻管を認め下咽頭梨状陥凹瘻の診断となった。全身麻酔下にTOVSによる経口的瘻管摘出術を施行した。術後経過は良好で再発を認めていない。TOVSによる瘻管摘出術は外切開を必要としないため低侵襲であり審美面に優れている。さらに瘻管を摘出後に咽頭を縫合閉鎖することで感染を遮断し,根治性にも優れる術式であると考えられた。

著者関連情報
© 2022 特定非営利活動法人 日本気管食道科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top