日本気管食道科学会会報
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症例
内視鏡的咽喉頭手術を施行した下咽頭類基底細胞癌の2例
河邊 浩明大野 十央川田 研郎高橋 亮介立石 優美子岡田 隆平有泉 陽介杉本 太郎朝蔭 孝宏
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2022 年 73 巻 3 号 p. 222-230

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抄録

類基底細胞癌(basaloid squamous cell carcinoma:BSCC)は扁平上皮癌(squamouscell carcinoma:SCC)の稀な一亜型であり,上皮基底層近辺に位置するbasaloidcomponentと上皮に位置するsquamous cell componentから構成されている。両成分が生検で検出されないと診断がつかず,術前に診断することは困難である。今回,内視鏡的咽喉頭手術(endoscopic laryngopharyngeal surgery:ELPS)で切除されたBSCCの2例を報告する。症例1:64歳男性,中咽頭癌治療後の経過観察中に施行した内視鏡検査で下咽頭に粘膜異常を認め,生検でSCCと診断された。ELPSで切除し,病理でBSCCと判断された。その後の短い経過観察では再発転移は認めなかった。症例2:67歳男性,胃癌治療後の内視鏡検査で下咽頭に粘膜異常を認め,生検でSCCと診断された。ELPSで切除したが,断端陽性のため術後放射線療法を施行した。その後は再発転移を認めていない。近年,内視鏡診断が発達し,表在癌が発見されることが増加してきた。ただしBSCCと診断がつくことは少ないため,粘膜下腫瘍様を呈する表在癌の場合は深層部での切除が重要である。今後術前診断をより正確にするためにはさらなる症例蓄積が必要と考える。

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