2025 年 76 巻 6 号 p. 351-357
舌下神経電気刺激療法は睡眠中,舌下神経を電気刺激することで舌根部気道を確保する,閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea, OSA)に対する新規治療である。OSA治療の第一選択である持続気道陽圧療法(continuous positive airway pressure, CPAP)でアドヒアランスを保てない患者に対して米国を中心に普及が進んでいる。本邦でも2021年6月に保険収載され,その実施件数は徐々に増えている。舌下神経電気刺激装置埋込術では神経刺激カフを舌下神経に留置する必要があるが,舌下神経の舌を突出または硬化させる分枝を含み,かつ,舌を後退させる分枝を除く必要がある。この分岐点はfunctional breakpoint(FB)と呼ばれ,術中はNerve Integrity Monitor(NIMTM)を用いて同定を行うが,これは必ずしも容易ではない。今回,当科で舌下神経電気刺激装置埋込術を行った2例について,顕微鏡,NIMTMを用いて舌下神経を追跡したにもかかわらず,神経刺激カフの適切な留置部位決定が難しかったことを経験した。FB同定時に注意すべき点について考察する。