抄録
視覚障害者の支援を目的に,視覚情報を触覚提示する可搬型の装置について情報取得方法に関する検討を行った。装置は視覚障害者自身や周囲への外乱が少ない事,携帯性に優れる事,低コストである事などが要求される。そこで,ビデオカメラによって手につけたマーカの位置と外界の画像を同時に取得して,手の位置に対応する視覚情報を振動により手に伝えるものを考えた。本論文では,先ず手の位置を特定する様々なマーカとその位置計測精度について検討した。その結果,3色のカラーマーカが実環境内で最も良い事がわかった。次に,取得した画像から輪郭情報を得て,振動として伝える視覚情報の触覚提示装置を試作し有効性を確かめた。更に,マーカの大きさを利用した簡易距離計測を使えば,3次元のポインティングデバイスにも拡張できる事がわかった。