バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
Online ISSN : 2424-2578
Print ISSN : 1345-1537
ISSN-L : 1345-1537
音響構造モデルと再構成技術 : ノイズ音の認識特性
吉田 秀樹角井 健二前田 康成藤原 祥隆
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2008 年 10 巻 2 号 p. 133-141

詳細
抄録
1オクターブ帯域幅で濾波した波形の構造を、周波数の瞬時値とエネルギーを有した仮想の粒子を使ってモデル化した。仮想の粒子は、濾波した波形の中で隣り合う2個の極値を含むシンボルであり、音が鳴っている期間のみ、音響波形は粒子を連結した構造として表現される。提案したモデルにより音色の複雑さは、計測された音響粒子数(極値の数)や分布に反映されることが示唆された。音響粒子モデルから再生音を合成する際には、隣り合う極値間を正弦波形状を模して補間した方が、線形補間、あるいはシグモイド関数、コサイン関数の0.3乗、コサイン関数の3乗を使った補間を実施するよりも良好であることが主観評価によって示された。正弦波で補間した再生音が、wavファイルの再生音と遜色ないことが示されたことから、ヒトの聴覚が、隣り合う極値間を結ぶ曲線の形状を正確には聞き取っていないことが示唆された。加えて、ドア音を合成する際に意図的に発生させた高調波ノイズに対しては、音質の劣化感を伴わなかった。本観察はヒトの聴覚認識が曖昧であるとする仮説を支持するものである。
著者関連情報
© 2008 Biomedical Fuzzy Systems Association
前の記事 次の記事
feedback
Top