抄録
帯域制限波の極大値と極小値から元の波形を再構成する手法は、聴覚系の情報抽出を模倣したものであるが、ノイズレベルにある無数の極値が記録されるので、情報削減の上で課題を残していた。先行研究では、振幅包絡の極小部に在る極値を削除することを提案したが、情報削減率は約2割に留まった。そこで本研究では、振幅包絡をカーネル関数で近似し、主観評価と明瞭度を使用してノイズの閾値を決定した。閾値未満の極値をカーネル関数単位で削除した後に、振幅包絡の極小部も削除、さらに全ての極小値も削除することで、情報削減率は7割5分を超えた。カーネル関数は隣り合う極大値を一周期の正弦波状につないで近似することができ、先行研究で提案した音響構造モデルを修正し簡素化を促した。