抄録
大学生や大学院生の情報スキルの測定に対し,Visual Analog Scale(VAS)を適用し,大学生や大学院生の情報スキルの実態を調査するとともに,このような調査によく利用されているLikert Scale(LS)とVASとの相関について検討することを目的とした.調査した情報スキル項目は「ワープロ・表計算・プレゼン・Web検索・Web作成・Program・画像処理・全体的に」という8項目であり,まずVASによる調査を行い,その一週間後にLSを用いた5段階および7段階の調査することとした.その手法により大学生35名および大学院生5名に対して情報スキルを測定したところ,すべての調査項目についてのVASとLSとの相関係数が高いことがわかった.また,調査した大学生35名のVASによる情報スキルの回答について平均値を求めたところ,1年生よりも3年生の方が高くなることも示された.合わせてこの結果については,有意差(有意水準5%)が出現した.さらに,今回調査した大学院生と大学生との情報スキルについては大差ない(有意差がない)ことも示された.VASはLSと異なる連続的な評点尺度の手法であること及び以上の結果を合わせ,情報スキル調査をはじめとする情報教育の分野に対しても,VASによる調査が有用であると考えている.