バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
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異なる心理物理学的測定法によって得られた評価値の違いに関する検証
神谷 直樹松浦 弘幸向後 礼子
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2013 年 15 巻 2 号 p. 71-77

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抄録

ある事象を評定するために副詞を用いる場合,副詞の主観的強度は言葉の選び方とは関係なく,順序や段階性は一定であることが仮定されている.本研究の目的は,2つの心理物理学的測定法(弁別尺度法の一対比較法と分割尺度法のグラフ尺度法)によって測定された副詞の主観的強度についてこの仮定を検証することである.本研究で測定対象となった副詞は、職業リハビリテーションの評価において高頻度で使用される副詞並びにその類義語から選択した.測定対象とした副詞は,「やや」,「比較的」,「ある程度」,「かなり」の4個の程度副詞と「ほとんど」,「ほぼ」,「よく」,「概ね」の4個の情態副詞であった.副詞には次の2種類の動詞が後続した:(1)可能を表現する(できる-できない)と(2)進度を表現する(進む-遅れる).2つの測定方法で得られた副詞の主観的強度を比較するために,測定値をファジィ測度に変換した.結果として,(1)副詞の主観的強度の測定値としては分割尺度法による測定値が適切であること,(2)心理的単位で表した変動性が心理的連続体上で一定であるという,弁別尺度法における変数変換に関する仮説は誤りである可能性が示唆された.したがって,副詞の主観的強度は,言葉の評価方法の違いによって変化することが示唆された.

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© 2013 Biomedical Fuzzy Systems Association
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