2013 年 15 巻 2 号 p. 79-87
本研究は,第4回IBSAブラインドサッカーアジア選手権大会に出場した4カ国におけるシュートエリアに着目し,各国の違いを明らかにするとともに,今後のブラインドサッカー日本代表の競技力向上ならびに普及のための手がかりを見出すことを目的とした.シュートエリアおよびゴールスローの分析から,6m以内からのシュートが,中国は32.3%(得点;2得点),イランは30.4%(得点;1得点),韓国は33.3%(得点;1得点)の割合でシュートしている.日本はこのエリアから,他の国の2倍以上の72.7%ものシュートをしているのにもかかわらず,得点は正面からの2点のみであった.上位国との得点力の違いが示唆された.世界ランキング上位国である優勝した中国のゴールスロー成功率は他の国に比べ低いものの,ゴールスローからシュートまでの割合は22.3%であり,他の国に比べて高い確率でシュートまで至っていた.基本的な攻撃のスタイルは,4ヶ国ともドリブルからのシュートであるが,中国を除く他の3ヶ国はランキングが下がるにつれて,パスの割合が多くなっていることが示唆された.