抄録
近年,スマートフォンの普及率は年々増加傾向にあり,端末内では個人情報を含め
た様々な情報が扱われ,セキュリティの重要性が高まっている.現在のスマートフォンでは,
他人に悪用されないためにロック機能が搭載され,パスワード認証やロックパターン,指紋
認証などが使用されている.ロックパターンにおいては,覗き見によるパスワードの盗難や,
画面に触れた際に残る残留物からの軌跡の推測など,パターンを読み取られる危険性がある.
そのため,以前から,ロックパターンにバイオメトリクス認証(トレース操作とデバイスの
傾き)を組み合わせたセキュリティの強化法の開発を試みてきた.ロックパターンと同様,
ユーザが手軽に認証を行える手法として,我々はMicrosoft Windows8 に搭載されている「ピ
クチャーパスワード」にトレース操作時の軌跡とデバイスの傾きに基づく行動的特徴量を付
与することで拡張を行った.また,学習と判別には自己組織化マップ(SOM)を用いた.そ
の結果,ロックパターンのセキュリティを向上させる可能性が示唆された.本稿では,拡張
ピクチャーパスワードの実用性を確認するため,自己組織化マップによる評価実験について
述べる.