2019 年 21 巻 1 号 p. 7-13
看護師のQOL 低下が現実的な問題となっており,とくに精神的QOL の低下がインシデント・アクシデントに影響する可能性があり,その改善が望まれている.本研究では,病院に勤務する看護師において,心理的回復力として近年注目されているレジリエンスに焦点を当ててQOL に影響する要因を明らかにすることを目的とした.九州圏内の10 医療施設に勤務する看護師454 名を対象に,基本属性,QOL(SF-8),レジリエンスに関する質問紙調査を実施し,その関連性について検討した.337 名の解析対象者において,精神的および身体的QOL スコアは国民標準値より低く,レジリエンススコアについては既報告でのスコアと同じ程度であった.重回帰分析により精神的QOL の影響要因をみたところ,レジリエンスの下位尺度であるソーシャルサポートと自己効力感,既婚の2 交替制勤務者が抽出された.今回の結果から,病院勤務看護師の精神的QOL には自身のレジリエンスが影響することが示され,レジリエンス向上のための方策(そのためのトレーニング教育を継続的に導入するなど)や交替制勤務を考慮して仕事と家庭の両立ができるような支援を行うことが看護師のQOL のさらなる向上に寄与する可能性が示唆された.