バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌
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鍼刺激誘発による血中ヘモグロビン結合の一酸化窒素が及ぼす遠隔部末梢血管拡張
米田 哲哉 山川 烈和田 親宗
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2025 年 26 巻 2 号 p. 53-58

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抄録
鍼灸刺激により局所と遠隔部の血流が増加するメカニズムは、上脊髄反射が関与するとされてきた.しかし、筆者らの予備実験では、上脊髄反射の関与だけでは説明できない事象が観察された.血管拡張に一酸化窒素が関与することと,一酸化窒素は血中に拡散し,ヘモグロビンと結合することから,鍼刺激によって発生した一酸化窒素が血液で運ばれ、遠隔部で血管拡張を引き起こすという仮説を立てた.本研究では,ヒトを対象に指尖容積脈波計を用いて経皮酸素飽和度(SpO2)と心拍数(HR)を,また血流スコープを用いて血管径を測定することにより,一酸化窒素の存在とそれによ る血管拡張現象の検証実験をおこなった.その結果,鍼刺激部位と測定部位との距離が近いほど,鍼刺激から血管拡張が生じるまでの時間が短かった.このことから,鍼刺激により発生した一酸化窒素が,血中に拡散し,ヘモグロビンと結合し,末梢血管に運搬され,遠隔部末梢血管拡張に寄与していることが推定できる.
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