日本醸造協会誌
Online ISSN : 2186-4012
Print ISSN : 0914-7314
ISSN-L : 0914-7314
プロテアーゼまたは細胞壁分解酵素製剤添加による紅麹焼酎製造法の改良
吉﨑 由美子奥津 果優二神 泰基玉置 尚徳鮫島 吉廣髙峯 和則
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 113 巻 4 号 p. 265-272

詳細
抄録

プロテアーゼまたは細胞壁分解酵素の添加による紅麹焼酎製造方法の改善を試みた。α-アミラーゼ酵素製剤1種,グルコアミラーゼ酵素製剤1種,プロテアーゼ酵素製剤12種,細胞壁分解酵素製剤30種を用いて紅麹焼酎もろみに各酵素製剤の添加試験を行った。酵素製剤を添加したもろみのほぼすべてにおいて,もろみ中の麹粒が柔らかくなり,アルコール発酵の促進が認められた。プロテアーゼ酵素製剤よりニューラーゼF3G,細胞壁分解酵素製剤よりスミチームTGがアルコール発酵と麹粒の溶解性において共に高い能力を示したことから,これら2つの選抜酵素製剤とα-アミラーゼ酵素製剤であるスミチームAS,グルコアミラーゼ酵素製剤であるスミチーム焼酎を用いて紅麹焼酎の小仕込み試験を行った。その結果,酵素製剤を添加したすべてのもろみにおいてもろみアルコール度数が上昇し,蒸留歩合が高くなった。また官能評価よりスミチームTGを用いた焼酎において対照である酵素製剤無添加の紅麹焼酎と最も類似していることが明らかになった。これらの結果より,紅麹焼酎もろみへ酵素製剤を添加することで,酒質に大きな影響を与えることなく,もろみ中の麹粒の溶解やアルコール発酵を促進でき,さらに蒸留歩合を改善することでアルコール収得量を増加させることができた。

著者関連情報
© 2018 公益財団法人 日本醸造協会
前の記事
feedback
Top