日本釀造協會雜誌
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清酒簡易釀造試驗
山田 正一松井 久夫
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1941 年 36 巻 1 号 p. 83-79

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抄録

1.製麹を簡易化しようとして棚仕事を慶し床上の手入に止めたが昇温により屡々手入を行ふ煩瑣の手績を要した。結局之は從前通り麹蓋を使用した方が總ての操作に便利である。
2.酒母の代りに酒粕を以てし初添の水に添加し, 酸量は豫め乳酸を初添の水に加へ (総米10石醪には乳酸800c.c.位の割) 不足分は踊の酸量を検し琥珀酸として0.10%乃至0.15%位迄となる様調節すれば爾後の経過は全く普通の醪の如くして目的とする甘辛何れかの清酒を自由に造り得られる。踊り日數は2日闇とする。從つて上記酸量は後踊りの日のものとする。仲添後の踊は必要としない。
3.添加酸量を少くする爲にな添仲留蒸米比は1: 3: 5が適當である。
4.酒粕使用量は可及的少くする方が製成酒に癖を附せない事になる。今同使用した量は5斗配1個分として2貫500匁位のものであつた。
5.濃醇酒型醗酵経過を取らせる時は製成酒が特に薄味である等の缺點は見出し得ない。火持成績も至て良好であつた。
6.此の方法は白糠醪の製造等に應用すると新規に酒母を用意する必要も無く便利であらう。

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